中古ドメインの件

今回は私自身のお仕事のお話。

私はフリーランスでインターネット(WEB制作など)を専門にお仕事をしております。早いもので既に15年以上のキャリアになりますが、最初は右も左もわからずに始めており、自分のペースを守りながらとにかくコツコツとこなしていった結果、今に至ります。自身のホームページという営業ツール(今ではこれを「自分の資産」と呼ぶのだと思います)と今までご縁のあったお客様のお陰で、競合他社の嵐にもまれながらもたくさんのお仕事を頂き、何とかここまでやってきたという実感があります。

新規に契約をされたお客様もたくさんおりますが、逆に解約をしていかれるお客様もいらっしゃいました。それだけ新陳代謝がある業界でもあります。ちなみに今は、ホームページを初めて作るというお客様よりも、既にWEBサイトを所有しており、その管理をもっと安い別業者に頼みたいというお客様が多く、他社で作ったWEBサイトをそのまま管理移転して、私の方で保守管理をしていくケースが多いです。

話を元に戻しますが解約をされるお客様の場合は、基本的にその時点でホームページを閉鎖してしまうお客様がほとんどです。他の業者にさらに管理が移る事はほとんどありません。私の管理料金が安いため、さらに安いところとなるとその管理品質が低い(対応や更新作業の精度が悪い)場合がありますし、私自身も対応には最低限気を付けているつもりでございますので、料金以外の理由で他社移転というのはほとんどない状態です。

ホームページを閉じる際にポイントになるのがドメイン(屋号・URL)とホームページのデータです。例えばこのサイトでいくと「adonoa.info」というのがドメインになります。ホームページデータはサーバーから一式ダウンロードして保存しておけばいつでも使える訳ですが、ドメインに関しては年間で維持費用が掛かる為、よほどの事が無い限り手放す(解約をする)事になります。ここでいう「解約」とは管理を手放す事を意味しますので、他社が同じドメイン名を使う権利を持てるという事になります。通常はそうされない様に(他社から取られない様に)ドメインの維持費を払って所有する訳です。

ホームページデータ自体に関しては、まずはサイトが閉鎖されたことをTOPページなどでアナウンスしておき、ある程度経ったら何も映らない(レンタルサーバーを解約)状態にします。それに対しドメインというのは任意に解除するものでは無く、途中解約が出来ません。更新期限日(取得した日から1年後の日付です・複数年契約の場合は複数年経過後の日付になります)があり、その日が過ぎるまでじっと待つ必要があります。

例えばあと3年間更新日まで契約期間が残っていても(それだけ先の分まで契約料を払っている場合があります)3年待つ必要があるという事です。更新期限日が近づくと「期限が迫っています」という支払い催促のメールが届きますが、それを無視して次の1年の料金を支払わないままにするのです。そうすると自然に解約扱いになります。

これまでに更新日を過ぎても料金を支払わずにたくさんのドメインを解約してきました。これがいわゆる「中古ドメイン」と呼ばれるものです。先日解約してしばらく過ぎた中古ドメインがどのようになっているのかが気になり調べてみました。中古ドメインは今現在どのようになっているのかがサイト上ですぐにわかるようになっています。誰も手を付けていないままなのか、あるいは誰かが使っているかがすぐにわかるので、誰も使っていなければ再取得が可能です。先日とあるドメインを見てみると、海外のとある法人が取得をしていました。その法人を調べてみると中古ドメインを専門に扱っているオークションサイトでした。

念のため他の解約ドメインもいくつか見てみましたがいずれも同上の法人が管理先であったり、別の法人でしたがそこも同じ様なオークションサイトだったりでした。価値が非常に高いと判断されたドメインによってはこのようなオークションサイトなどで高値で取引がされているようです。私が手放した中古ドメインを全て調べた訳ではないのですが、そのほとんどがサイト運営中キーワード検索である程度上位に来ていたドメインでした。それによりその各ドメインに対して評価点というのが付いており、それにより高値で取引されるだけの価値があるものとして市場に出回っているのです。これがいわゆる「ドメインパワー」と呼ばれるものです。

ちなみに今回調べたオークションサイト(英語)でドメインがどのような扱いをされているのかを知るため、そのサイトにアカウント登録をしてみました。オークションサイトですので「どれくらいで買いたい」という意思を示す必要があります。金額を入力する欄にちょっと高めに$5などと入れてみたのですが(5,000~5,500円程度)、なんと最低入札金額が$199からでした。およそ2万円です。通常.comドメインなら年間維持費は3~4,000円程度であるのに、それが最低2万円以上に化けているという事になります。当然オークションですから値段がさらに吊り上がる可能性も大いにあります。

実はこの中古ドメイン市場はいま非常に注目されています。なぜならば個人などが今からブログ等を解説する際の戦略として、中古ドメインを買ってスタートするというセオリーがあるためです。Googleアドセンスやアフィリエイトなどで収入を得るネットビジネスの世界では当然の方法として位置付けられています。それはなぜかと言いますと、新規に新しく作ったドメインは歴史としてはゼロでそこから始まるのですが、中古ドメインは解約されたものであってもそれまでの歴史があり「ドメインは生まれてからの年月が長い方が価値がある」とされているのです。

どの中古ドメインがドメインパワーがあるのかというのは、別のサイトで調べればすぐにわかる様になっています。今回私が調べたドメインの様に運営歴がある程度あり、なおかつ検索エンジンで上位に表示されていた(SEO対策がきちんとされていた)経緯を持つ中古ドメインはドメインパワーが高いと判断され、今回の様にオークションサイトが意図的に購入をしてオークションに出品しているという訳です。オークションで競ってでも手に入れたいという方がおそらくいるのでしょう。他人にサイト表示のため管理されているよりはまだましですかね、いくらになるかわかりませんがお値段次第で取得できる事はできるはずですから。

逆にドメインパワーの低いドメインも存在します。例えば以前検索エンジン対策で不正をしたが故にいわゆる「ペナルティ」を受けていたことがあるサイトドメインだった、などがそれにあたります。それを利用してブログを運営してしまうとそのペナルティが影響する可能性などがあるとされているためです。中古ドメインとしてサイト表示の任と解かれたのであれば過去にどのようなサイトを表示していたかは本来関係がないので、その事で評価が下がるというのはちょっと私は意味が分かりませんが、そのようなお話になっています。

この事を知ってから、ドメインを解約しない方が良かったかなと思う事もありますが、放っておいても維持費が掛かる訳ですから、使う予定がない以上持っていても仕方がありません。ただしブログを開設する予定があれば持っておいても良いのかなとも思います。特に私の場合はサイトを担当する事が多い訳ですから常にある程度の数のドメインは管理しています。次からは解約する前に一考するべきだと思っています。

ルドルフとイッパイアッテナ

お盆休みの期間中に映画「ルドルフとイッパイアッテナ」を鑑賞しました。

岐阜のとある町でリエちゃん宅に飼われていた甘えん坊の黒い子猫「ルドルフ」。ある日リエちゃんがお使いに出た際、彼女を追っかけて家を飛び出し、魚屋さんに追い立てられて見知らぬ軽トラックの荷台に飛び乗ってしまいます。一晩中車に揺られてたどり着いたのは遠く離れた大都会「東京」のとある町。右も左もわからぬまま途方に暮れるルドルフは、そこで大きな虎色の猫「イッパイアッテナ」に出会います。ルドルフはこれからたくましく生きていくための様々な事をイッパイアッテナから学び、新しくできた仲間の力も借りながら1年を掛けてリエちゃんの家へ帰る事を目指すというのがこの映画のストーリーです。

今回は多少ネタバレになっている事をお許し下さい。わたしは号泣する程感動いたしました(涙腺がかなり弱くなっている事を差し引いても良い作品でした)。この作品は小さい子供たちに読み聞かせる「本」として既によく知られている物語です。自分は読んでもらった事がないので知りませんでしたが、検索するとたくさん書籍が出てきます。この映画に登場する猫はCGではあるものの、非常に滑らかで猫らしい動きをする可愛いキャラクターに仕上がっています。

まず「イッパイアッテナ」とはその虎猫の固有名詞ではありません。呼ばれる人間によって呼び名が違う野良猫である事をルドルフに説明するにあたり、虎猫は呼び名を一つに選べないため「いっぱいあってな」と返事をしたのですが、それが「イッパイアッテナ」という呼び名に聞こえたところがルドルフとの師弟関係の始まりとなります。

イッパイアッテナは以前は飼い猫だったのですが、現在は野良でありつつ街のリーダー的存在で、非常に賢い猫です。何より世間の渡り歩き方を知っています。風貌に明らかに似合わない「ネコナデ声」を駆使し、いろいろなところに出向いては人に呼びかけてエサをもらう。この日はここにいって次はここ、というルーティーンが決まっているかのように動きます。それについていくルドルフ。一緒に行動するにつれ、イッパイアッテナがなぜこんなに食うのに困らずに野良で悠々と生活をしていけているのか、その理由がわかります。

イッパイアッテナに生きていくための知恵を教えてもらいながら(特にとある技術の習得が中心)、東京の街での大切な時間を惜しみつつ、ルドルフはリエちゃんのところに必ず帰ると決意を新たにします。一回りも二回りも大きく成長した黒猫ルドルフは1年以上の時を経て、一生懸命覚えた技術を使いながらついにリエちゃんのいる岐阜の自宅にたどり着くのです。

物語のラストでルドルフは号泣します。そのシーンを見て、私も昔飼っていた猫を思い出して大号泣してしまいました。もし飼っていた猫がしゃべる事ができたのなら、もしかしたらこのルドルフと同じ気持ちだったのかも知れないと思うと、泣かずにはいられませんでした。その理由を述べさせて頂きます(いわゆるリエちゃん側、飼ってる側視点です)。

私が学生の頃に家で飼っていた何匹かの猫はルドルフ達と同じように全て野良猫で、施設のゴミ箱でごみを漁ったりしているところを親父が拾って、車に乗せて自宅まで連れて帰ってきていました。定期的に何度か拾っては来たものの、すぐに外に出たままいなくなったり、病気などで死んでしまったり、それでまた拾ってきたりを繰り返していました。

みんなで猫の話をしながら毎日を過ごしていく事で、猫が家族の中心であり、各構成員(w)のバランスを保つ「緩衝材」的な役割をしていたんだと、私なりに何となく気づいていました。親父がそれを知った上で拾ってきていたかどうかはわかりませんが、親父は亡くなる間際まで野良猫を可愛がっていましたので、猫が好きだった事は間違いありません。

最初の猫は確か私が高校の修学旅行中に死んでしまったのですが、外に出たままいなくなってしまった猫が他に何匹かいました。基本的に猫は家の外に平気で出していたので、何日も帰ってこない事が多々あります。そこであまりに日にちが経った場合は家族で「新しい猫を…」という事になるのですが、「もう少ししたら帰ってくるのでは?」「いやいやもう帰ってこないよ」の間でせめぎ合いが起こります。出ていっている猫の事はお構いなしにです、もしかしたら帰ってくるかもしれないのに。

ポイントとなるのは仮に新しい猫を既に家に連れて来ていて、長い間出ていた猫がそこに帰ってきた場合です。その猫同士がそこで仲良くなる保証は全くありません。両者の距離が少しでも近づくと奇声をあげて威嚇するような状態もよくあります。私たちは常日頃からその両者が相まみえるところを観察している訳ではありませんから、私たちの知らない内に遭遇・相性判断・決裂・険悪ムード・片方退出、のフローが進行している場合があるのです。私たちは新しい猫の方に夢中になり、この仮説の成立を知らないまま過ごしていた可能性がありました。

「帰ってこなかった」のではなく「帰ってきたけど既に違う猫がいた」ために、家に戻れずに他のところへ行った猫がいたのではないか?という疑問に対し、今回の映画は「そうかも。」とストレートに答えていました(勝手な解釈ですが)。個人的に大いにありうると思った私は非常に申し訳ない気持ちになりました。私が大号泣したのはそれが理由です。

言い訳になりますが当然猫は話せません。ご飯が欲しい時も、体を触ってくれるなとアピールする時も、眠い時も、この場所を出ていく最後の挨拶の時も、ちょっと出かけてくるね、の時も全て声は「ニャー」ですので、猫の本当の気持ちは計り知れないのです。でももしかしたらそんな猫もいたのかも知れないと思うと、岐阜に帰ったルドルフがかわいそうで×2……涙があふれて出ていました。

ちなみにルドルフは岐阜に旅立つ際に「さよなら」と別れたはずのイッパイアッテナに再会し、顔をうずめて泣きながら今回の結果を報告しています。さぞ悲しかったでしょう、淋しかったでしょう。今回の報告をするためまた東京に戻ってきている訳ですから…皮肉な話です。

イッパイアッテナの方もまた壮大過ぎる計画を持っており、それこそ岐阜以上に無理じゃね?と思っていましたが、全てを包み込むような環境変化が起こり、ルドルフはイッパイアッテナと共にみんなで楽しく幸せに暮らす、というお話です。一応最後はハッピーエンドという扱いなのでしょう。淋しさは決して抜けないラストではありますが、岐阜の自宅でルドルフがした選択は、この1年ルドルフがたくましい猫に成長した事を意味しています。

あくまで個人的にですが非常に良い映画だと思いました。動物好きな人はもちろんそうでない人も含めて、動物側の視点に立って感情移入できる作品です。是非一度ご覧くださいませ。